亡くなった方が不動産をお持ちだった場合には、登記の名義を変更する必要があります。いつまでにやらなければいけないという決まりはありませんが、いずれやらなければならないことですから、すみやかになさることをお勧めします。長く放っておくと、相続人が死亡したり、書類がとれなくなったりする恐れがあり、手続が煩雑になり余りいいことはありません。
@ 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・原戸籍謄本
A 相続人全員の戸籍謄本(抄本でも可)
B 相続人全員の印鑑証明書
C 亡くなった方の住民票除票
D 不動産を取得される相続人の住民票
E 不動産の評価証明書
F 遺産分割協議書
〔例1〕のうち、BFが不要
〔例1〕のうち、BFが不要
@ 亡くなった方の死亡の記載がある戸籍 謄本
A 不動産を取得される相続人の戸籍謄本(抄本でも可)
B 亡くなった方の住民票除票
C 不動産を取得される相続人の住民票
D 不動産の評価証明書
E 遺言書
戸籍は、転籍、結婚、改製、分家など理由でしばしば作り替えられます。それらが日付順につながっていなければなりません。これを提出する理由は、亡くなった方に、ほかに子がいるかいないかを確認するためです。一般に「出生から」といっていますが、厳密には「子のできる年令(12才位)から」ということです。
実際の手続きでは、これを揃えるのがなかなか面倒です。司法書士は職権で取寄せることができますのでご面倒な方はご用命ください(報酬:当事務所の場合1通につき2,000円)。
横浜であれば、区役所の固定資産税係でもらえます(東京都の場合は、都税事務所)。固定資産税の基礎となる不動産の評価額が記載されてあり、登記する際の登録免許税(評価額の1000分の4)の基準価格となります。
相続人が2名以上いる場合に、相続財産の具体的な配分方法を取り決める文書です(遺言書があれば不要です)。
一口に分けるといっても、財産を個別に分けたり、財産を売却してその代金を分けたり、一人が全部取得して、その代わり他の人に代償金を支払うとかいろいろな方法があります。また、相続財産が多額の場合は、相続税のことにも配慮して分け方を考える必要があります。
作成がご面倒な方は、当事務所でお作りすることもできますのでご用命ください(報酬:5,000円〜)
遺言書には一般的に自筆遺言書と公正証書遺言書の二通りあります。公正証書遺言書の場合はそのままで名義書換えなどの手続きに使用できますが、自筆遺言書の場合は、予め家庭裁判所の検認手続きを経る必要があります。
遺言書の検認とは、遺言書の保管者またはこれを発見した相続人が、家庭裁判所に検認の申し立てをし、遺言書を提出して、裁判所の確認を経る手続きです。遺言書の偽造・変造を防止するとともに、遺言書の存在を相続人全員に知らせるといった目的があります。
当事務所は、検認の申立手続きも承りますので、必要な方はご用命ください(報酬:20,000円〜)
相続放棄とは、家庭裁判所に対し、相続権を放棄しますという申述をすることです(書面で行う)。この申述が受理されると、はじめから相続人でなかったことになります。
通常、亡くなった方が借金を抱えていた場合とかに、それが相続人に及ぶのを防ぐためになされます。申述は、相続開始を知ったとき(通常、被相続人が死亡した日)から原則として3か月以内にしなければならないという制限があります。
しかし、一定の事由がある場合には期限の伸長が認められる場合もありますので、ご相談ください。
当事務所では、相続放棄の申述手続きも承りますので、必要な方はご用命ください(報酬:20,000円〜)
相続人が何人かいて(特に「子」の場合)、相続財産を法定相続分割合で分ける場合に、通常は、相続財産の総額に各人の法定相続分割合をかけた額が、各人の具体的な取得額ということになります。
しかし、相続人の中に@被相続人から多額の生前贈与を受けている者がいた場合に、その者が、さらに被相続人死亡時の相続財産から法定相続分どおりに取得するとなると、他の相続人との不公平が生じます。
また、反対に、相続人の中にA、被相続人を長年介護したり、家業に尽くして被相続人の財産の増加や維持に大いに貢献した相続人がいる場合に、何もしなかった者ともらい分が同じというのでは、これも公平とはいえません。
民法は、公平の見地から。「特別受益」並びに「寄与分」という制度を設けて、これらの不公平を解消させようとしています。
たとえば、前記@の場合については、贈与額を加えた額を全体の相続財産として各人の取得額を計算し(これを「持戻し」といいます。)、生前贈与を受けた者の取得額から贈与分を差引いたり、また、Aの場合については、寄与分に相当する額を相続財産から計算上除外し、残りの相続財産額を基に各人の取得額を計算し、寄与者については、その取得額に先に除外した寄与分を加えることにより、実際の取得額を増やします。
ただし、民法は、「特別の」といえるほどの受益あるいは寄与があったということを条件としているので、たとえば、他の子よりも小遣いや祝い品を多めにあげていたとか、夫婦間の協力扶助義務や親族間の扶養義務からすれば当然といえる程度の寄与では足りません。
具体的な事案において、それが特別受益あるいは寄与分に該当するか否かという判断は非常に難しく、その事実あるいは評価をめぐって相続人間で大いに揉めることが予想されます。
この関係の裁判例が数多く出ておりますので、それらを参考に判断することになろうかと思われます。
@ 登録免許税 固定資産税評価額の1000分の4
A 司法書士報酬 4万円〜
【相続人】 配偶者(亡くなった人の妻または夫)は常に相続人になります。 配偶者以外は、次の順番で配偶者と共に相続人となります。 @ 亡くなった人の子 A 亡くなった人の親(子がいないとき) B 亡くなった人の兄弟姉妹(子も親もいないとき) 子も親も兄弟姉妹もいなければ、配偶者だけが相続人です。 配偶者がいなければ、子または親または兄弟姉妹だけが相続人です。 子には養子も含みます。 内縁の配偶者は、相続人ではありません。 子が既に亡くなっているときは、その子の子(孫)が代わって相続人になります(代襲相続)。 |
【胎児の相続権】 胎児とは、妊娠中の母親のお腹の中にいる子のことです。 民法は、胎児について相続に関しては既に生まれたものとみなし、胎児にも相続権を認めています。 胎児がいる場合の登記は、法定相続分による登記に限られ、遺産分割は認められません。 登記後に、万一、胎児が死んで生まれた場合は、所有権の更正の登記を行うことになります。 <コメント> |
【代襲相続 代襲相続とは、被相続人よりも先に相続人である子または兄弟姉妹(被代襲者)が亡くなっている場合には、亡くなった相続人の子(代襲相続人)が代わって相続人になることをいいます。 たとえば、被相続人甲に妻乙と子A・Bがいるケースで、Aが甲よりも先に亡くなっていた場合に、A(被代襲者)に子C(代襲相続人)がいれば、CはAの相続分を引き継ぎ、相続人は乙およびB・Cということになります。 また、甲が独身で妻も子もおらず、両親も既に亡くなっているケースで、甲には兄弟A・Bがいるが、Aが甲よりも先に亡くなっていた場合に、Aに子Cがいれば、CはAの相続分を引き継ぎ、相続人はBおよびCということになります。 被代襲者が子の場合と被代襲者が兄弟姉妹の場合との違いは、子の場合は何代(被相続人からみて孫・曾孫等)でも再代襲が可能であるのに対し、兄弟姉妹の場合は代襲は一代(被相続人からみて甥・姪)に限られるということです。 代襲相続人は被代襲者の直系卑属に限られるので、被代襲者の配偶者は代襲相続人になれません。 <コメント> 被代襲者の配偶者に代襲相続権が認められていないことに常々違和感を感じます。代襲相続制度の目的には、@被相続人の子の死亡の時期が、被相続人の死亡の後か先かという偶然の事情により利益・不利益の違いが生じることを避けるという意味合いと、A相続が遺族の生活保障の機能を果たしているという意味合いがあります。 |
【遺産の分け方】 1 なにも取決めがない場合 民法が定める下記の持分(法定相続分)によります。 相続人が @ 配偶者と子の場合 配偶者が2分の1、子が2分の1 子が何人もいるときは、2分の1をその人数で平等に分けます。 A 配偶者と親の場合(子がいないとき) 配偶者が3分の2、親が3分の1 両親とも生存している場合は、3分の1を父と母が等分に分けます。 B 配偶者と兄弟姉妹の場合(子も親もいないとき) 配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1 兄弟姉妹が何人もいるときは、4分の1をその人数で平等に分けま す。 2 遺言書がある場合 遺言書に書かれたとおりに分けます。 ただし、遺留分を侵害された相続人は、侵害された分を取り戻すことができ ます。 3 遺産分割による場合(遺言書がないとき) 相続人全員で自由に分け方を決めることができます。一人の人が全部もらっ ても構わないし、何ももらわない人がいても構いません。 普通の分け方のほかに、下記のようなやり方もあります。 @ 遺産を売って、その代金を分けるやり方 A 一部の人が沢山もらって、その代わり他の人に代償金を支払うやり方 |
【任意相続財産管理制度】 相続が開始すると、不動産の名義書換え、預貯金の払戻し、役所の届出などのいわゆる死後事務というものが沢山あります。遺言書があって遺言執行者が指定されていれば、これらの事務のほとんどは遺言執行者が行なってくれるのですが、そうではないときは、相続人自身でこれらを処理しなければなりません。ある程度の知識も必要ですし、なにより仕事や家事の合間に行うのはなかなか大変なことです。 司法書士や弁護士の場合、相続人全員からの委託があれば、任意相続財産管理人として、相続人に代わってこれらの事務を行うことが可能ですので、大変だと思われる方は、ぜひご利用ください。 |
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